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ダグラス・ラシュコフのアジテーションに 満ちた著書のタイトル。
ダグラス・ラシュコフは、この本で、ドラッグ、ハウス、 RPG、ハック、クラック、 サイバー、コミック、カオス、フラクタルなどについて、 これらを Cyberia -- サイベリアの文化として論じている。 ラシュコフの言うサイベリアとは、一人一人が地球という脳のニューロンになり、 意識が境界なき新たな段階に至るためのフィールドである。 このような説は、ラシュコフ独自のものというよりは、 ラッセルのガイア・フィールド仮説に多くを負っていると言えるだろう。
lain の世界では、サイベリアはクラブの名前。 おそらくはナイツというかタロウによって、サイベリアでは人の記憶に作用する サウンドも流されており、これによって、玲音以外の lain が現れた唯一の場所 となる。
あるいは、これは玲音をサイベリアに誘い出すための罠だったのかもしれない。
サイベリアの DJ。 レインとは親しいが、それはナイツによって仕掛けられた もう一人の方のレインだったらしい。 直接ナイツとの関わりはないようである。
オウム事件で一気にその名を知られるようになったニコラ・テスラ。 彼は 19 世紀終わりから 20 世紀のはじめにかけて行なった無線通信システムの 実験で、地球には電磁波の定常波があることを確信する。 テスラはこの定常波を媒介にして、世界に情報と電気エネルギーを配送するという、 世界システムを夢想した。 しかし現在では、この定常波を使ってエネルギーを伝搬することは、無理であろう と言われている。
後に 50 年代になり、ドイツの シューマン(W. O. Schumann)は、 導体である地球と電離層の間の空洞に低い周波数の電磁波の定常波が 発生することを予想する。 これは、観測により確認され、シューマン共鳴と名付けられることになる。
シューマン共鳴は、サイ、電波の危険性、マインド・コントロール、気象制御、 ディープ・エコロジーなど、さまざまなアヤシイ研究でも取り上げられること が多い。 というのも、この共鳴の周波数は 7.8、 14.1、 20.3、・・・ Hz と、 極めてα波、θ波、β波などの脳波に近いからである。
lain には、電波や電線のイメージが度々出てくるが、これはテスラと関係が深い。 しかし、テスラの予想しなかったことに、この世界システムは毒電波を媒介にして、 人の精神に作用している。
ナイツのメンバー、まるねこの息子。 まるねことは、フライト・シミュレータで一緒に遊んでいた。 今のところ、ナイツになれそうな素養は現れていない。
ジョン・C・リリーは、ティモシー・リアリーと共に、ニュー・エイジャーに 好んで取り上げられる人物の一人である。
ジョン・C・リリーがどんな人物かを形容するのは難しい。 神経生理学者? 神経解剖学者? 生物物理学者? 電子工学者? コンピュータ科学者? それともただの頭のいかれたインチキ・オヤジ?
リリーは、最初、脳科学者としてスタートし、後にイルカとのコミュニケーション の研究へと次第にシフトいく。 アイソレーション・タンクを開発し、これを用いて LSD や彼がビタミン K と呼んだ 物質を用いた実験を、自らを被験者として行ない、 ニュー・エイジャーたちの崇拝リストに不動の足跡を刻むこととなった。 彼が、タンクの中で、地球暗合制御局のヴィジョンを得たりした様子は、 自叙伝形式で書かれた『サイエンティスト』という本に詳しい。
アイソレーション・タンクの中の意識の拡大によって、インスパイアされたのが、 イルカとのコミュニケーションのアイデアである。 しかし、意識が拡大しても錯覚以上のレベルでイルカの精神と混じりあう ことはなかった。
lain は、わたしたちが寄って立っている場所を問いかける物語である。 すなわち、事実とは何か? 人とは何か?
「記憶なんてただの記録」
わたしたちが信じているもの、現実、わたしたちのアイデンティティ、 わたしの存在・・・ それらも、大局的には時空連続体に刻まれた記録に過ぎない。 そのような、「儚いもの」に寄りかかって、人は生きている。
「あたしは、あたしだよね・・・」
この記録にアクセスすることが可能になれば、現実は簡単に揺らいでしまうだろう。 それが可能な lain という存在にとって、この世界はどう見えるのだろうか?
「なあんだ、そうだったんだ。世界なんてこんなに簡単なものだったの。」
Wired と Real World の境界が崩れると言うことは、この記録にアクセスできる ようになるということ。 そうなれば、もはや Real World の記録である肉体も、 Wired の記録である データにも大差はなくなってしまう。
「肉体なんて無意味」
そのとき、 Wired の神、デウスは、まさに神として君臨するだろう。
「たった一つの真実 --- 神様・・・」
しかし、そのとき、かつては存在していた、「かけがえのなさ」は どこかに行ってしまうだろう。 不自由さの中に見出される何か、心をやすりにかけられるような思いをしてやっと 見つかる何か。
「どきどき、どきどき、どきどき、どきどき・・・・」
そして、 lain が選んだ道とは?
玲音の父(?)康雄のネットワークのアクセス・コード。 本来、このようなものが画面に表示されることは、セキュリティ上、望ましくない。
出展はコードウェイナー・スミスの《人類補完機構》シリーズの短篇 SF 「青をこころに、一、二と数えよ」。 原題は "Think Blue, Count Two" だが、これをアレンジした上に、 敢えてスペル・ミスを行なっているのは、辞書攻撃によるクラッキングに 備えたものと思われる。
「青をこころに、一、二と数えよ」は、平面航法という超光速航法が開発される 以前の、光子帆船による宇宙旅行を扱った物語である。 この時代、宇宙の虚空はしばしば人の心を蝕み、悲惨な事件を産んできた。 そこで、ある光子帆船で旅をすることになった幼い美しい少女は、 事件に巻き込まれた場合、現実に人をも殺し得る幻の守護者が出現するという プロテクションをかけられた。 その出現のキーワードは、「青をこころに、一、二と数え」だった。
康雄の趣味を如実にあらわすと同時に、物理的実体というもののゆらぎを 暗示させるキーワードである。